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信販業界に悩ましい存在の悪徳訪販業者

割賦販売は、01年に銀行系クレジットカードに開放されましたが、まだまだ信販の主力商品です。しかし、一部の訪問販売業者(加盟店)がトラブルを起こし、社会問題化しています。

信販会社の「聖域」でもあった割賦販売(個品あっ旋=分割払い)が01年に改正され、現在、銀行系クレジットカード各社は24回払いの商品などを提供しています。しかし、5年、10年の長期分割となると、信販が長年培ってきたノウハウにはかないません。

信販会社の関係者によると、新規加盟店の中で増える傾向にあるのが訪問販売、通信販売業者だといいます。小売業者数は年々減少し、大型ショッピングセンターはすでに提携カードを発行している現在、加盟店人りするのはこうした業者が増えるわけです。

しかし、こうした業者の一部は消費者との取引において様々なトラブルを起こし、社会的な問題になっています。訪問販売などでは、一定期間中ならば商品の無条件返還(クーリングオフ)が認められています。しかし、消費者との契約を正しく履行しないと、支払停止の「抗弁権」が発生し、信販会社などクレジットカード会社にとっても信用が失墜し、損害が出ます。

01年にはこうしたトラブルの再発防止の観点から、訪問販売法に代わって「特定商取引法」が制定され、業者規制が強化されています。割賦販売法ではそれ以前の99年、「特定継続的役務」のなかにエステティックサロン・語学教室・家庭教師・学習塾の4業種が含まれました。こうした業種もトラブルを生む一部の業者が存在していることを示唆しています。

貸金業者には多くの規制がある

クレジットカード業界は、キャッシングを重要な収益の柱にしています。貸金業の関係法令は、消費者金融だけの問題ではなく、クレジットカード全体の問題です。

貸金業者にとっていちばん重要な法律は、貸出上限金利を規定する「出資法」です。最近は、返済困難な利用者が債務整理し「利息制限法」の利息に引き直して請求する「過払い訴訟」が相次いでいます。消費者金融業界は、貸金業規制法の第43条にある「みなし弁済」の立場から、過払いに対して批判的です。

「出資法」は、違反すれば罰則を伴うものですが、「利息制限法」は民法の特別規定で、個人の間で金銭の貸し借り争いが起きたときに適用される基準といわれています。「過払い訴訟」は、すでに支払った返済金まで遡って、金利を利息制限法の金利で再計算するので、業者側にとっては納得がいかないようです。また、利息制限法は制定後すでに半世紀以上経過しているため、そもそも現在の経済水準を反映していない金利だ、との指摘もあります。

消費者金融業界にとって不満なのは、貸金業者が「IT一括法」の対象外になっていることです。割賦販売法が同法の適用を受けているため、クレジットカードによる契約の完了が認められています。それに対し、貸金業者は、利用中し込みはインターネッ卜で可能ですが、最終的な契約は店舗や文書の郵送などで行う必要があります。ネットによる申し込み比率は15%に達しており、業界ではネット上での契約完結を待望しています。

クレジットカードの安全性~不正検知システム

インターネットの進歩で、クレジットカードの稼働率は向上しています。反面、不正アクセスによって個人情報が漏えいし、セキュリティ対策が急務になっています。

クレジットカードは、会員の属性および購買履歴がデータ伝送によって業務処理されるため、ネットワーク上で貴重な情報が行き交っています。近年はオンラインショッピンクの取り扱いが急速に伸びており、そこに悪意を持った侵入者(ハッカー)が紛れ込んできてクレジッ卜情報を盗み、本人になりすましてネットショッピングをしたり、架空請求をしたりするネット被害も増えています。

ICカードは記憶容量が大きく、偽造しにくいといわれますが、カード被害に関する専門家は「不正使用する者は、たとえIC化してもその盲点を必ず見つけてくる。情報量が多く集積されている分だけ、被害に遭ったときの実害はICカードのほうが大きくなるのではないか」と危惧しています。

クレジットカード各社は、IC化する以前から不正使用対策を講じています。それは、一般に「不正検知システム」と呼ばれているもので、利用者の購買情報を蓄積してその傾向をモデル化し、その傾向に合わないショッピングについて警告を発したり、カード利用を一時停止したりする仕組みです。国際的なカード窃盗団など、海外での不正使用の実例が組み込まれており、システムを利用するカード会社が被害状況を共有して水際作戦を取っています。インターネットでは、SSLと呼ばれる暗号化技術を使ってリスクを最少限にとどめています。しかし、最も重要なのは会員自身がネットワーク犯罪に対する意識を高めることです。

クレジット端末とネットワーク対応

クレジットカードは会員と加盟店、力-ド会社の3者が相互につながりを持ち、その裏には正確な事務処理を可能にする端末とオンラインネットワークが存在しています。

クレジットカードは、カードに蓄積された情報を読み取る端末から情報処理センターを経由し、カード会社にデータ伝送されます。この流れが往復することで、会員のクレジットカード利用が完結する仕組みです。

クレジットカードが会員のものかどうかの真偽を加盟店がクレジット端末で確かめる照会作業(オーソリゼーション)に始まり、売上処理や売上票の発行、利用明細や請求書などの業務処理が、一連のネットワークの中で動いているのです。

我が国のクレジットカード業務処理のオンラインシステムは、84年に稼働を開始したCATシステム(Credit Authorization Terminal System)を共同利用することで成り立っています。同システムは、目本独白のカードネットワークシステムで、このネットワークを使ってデータのやり取りを行い、膨人な力ード会社および加盟店、カード会社の間の業務処理を瞬時に完結させているのです。また、データ交換のフォーマット(仕様基準)を公開したことで、端末を製造するメーカーが増えて競合した結果、端末機器の価格が下がり普及に貢献したといわれています。CATシステムは、銀行系カードと信販会社が共同運営しています。

しかし95年、CATシステムと国際カードネットワークとの互換性に関して課題が浮上しました。

CATシステムが稼働した当時は、クレジットカードの国際化を想定していなかったため、国内会員が海外でカードを使用した場合は、個別会社の処理に委ねられていました。しかし、VISAやマスターとのカード提携が本格化した90年代に入り、クレジットカードのオンライン処理システムも時代のすう勢として、国際標準に準拠せざるを得ませんでした。この背景には、「米国が日本政府に対してカード端末とネットワークの自由化を求めた結果で、外圧の賜物」(カード業界関係者)との指摘もあります。

そこで、96年にCCTシステム(Credit CenterTerminal System)という新たな共同利用システムが登場しました。CCTシステムでは、端末とネットワークは自由化され、CATシステムで唯一のネットワークセンターだったNTTデータのCAF-S(Credit And Finance Information System)に加えて、VISA系の「GP‐ネット」やJCNなど、次々にネットワーク業者が誕生しました。クレジットカード業界ではICカードが定着していることもあって、端末もネットワークもCCTシステムに移行しているようです。この傾向は、さらに進むと思われます。

IC力-ドヘの対応

セキュリティ性に優れ、多くの情報が盛り込めるICカードの導入は、クレジットカード業界がけん引役を果たしてきました。今後、IC力-ドヘの移行が急速に進みそうです。

IC(Integrated Circuit)は集積回路の一種です。偽造が困難なうえに、これまでの磁気ストライプに比べて大容量の情報を記録することができるため、安全性に富み、より多彩なサービスに応用できます。

IC力-ド先進国のフランスでは、80年にテレホンカードをIC化し、乗車券カードなど多方面で使用されています。日本国内でも取り組みは早かったのですが、カードの盗難や偽造などの不正使用が頻発するクレジットカード業界が早期導入を提唱したのに対し、金融業界はキャッシュカードに対する安全性の認識がクレジットカードほど高くなく、しかもICチップがまだ高価だったことやATMの切り替えなど、費用負担の面でICカード化に消極的でした。

しかし、01年の電子政府構想(e-japan戦略)あたりから金融業界もIC化に乗り出し、01年4月にクレジョトカード業界と同じICカード端末仕様を採用することで、IC化の流れができました。ICカードは、ICカード対応端末が設置されている加盟店では、原則としてサインのかわりに暗証番号を人力するだけで利用できます。従来のクレジットカードは、磁気ストライプの読取装置が市販されているので、安全性に問題がありました。ICカードは偽造が難しく、不正使用率は激減するといわれています。フランスでは、89年から98年の10年間でICカードの不正被害が7割減ったとの指摘があります。