記事一覧

業界の常識をくつがえしたクレディセゾンの経営戦略

カード会社の重要な収益源である「年会費収入」を最初から頭に入れず、業界の常識を破るかたちで年会費無料カードを発行し続けている会社があります。それがクレディセゾンです。いまでは、業界でJCB、三井住友カードに次ぐ第3位の地位になるまでに成長しています。日本のクレジットカードの歴史は、1960年に日本ダイナースクラブによって始まりましたが、クレディセゾンがカード事業に本格参入したのは1983年のことです。すでにJCB、住友クレジット、UC、DCといった銀行系カード各社、日本信販、オリコといった信販系カード各社が先発組として確固とした地位を築いていました。

そこに割って入るのですから、生半可なことでは成功しません。そこで考え出されたのが、年会費をいっさい取らない、年会費無料という戦略でした。クレディセゾンが銀行系カード会社に比べて有利だったのは、グループにデパート、スーパーを持ち、そこを拠点に会員募集ができたことでしょう。さらに、販促カードとして位置づければ、グループの売上増に貢献することで、年会費分の元は取れるという計算があったのは事実です。しかし、そうはいっても、現在の会員数1400万人が、たとえば、年会費1000円を払ったとすると年間140億円の収入となります。

当然、独自の経営戦略を打ち出さざるをえなくなってきました。それが徹底した合理主義経営、いわゆる「ケチケチ経営」を生み出したのです。その一環として「よけいな出費はしない」があります。コマーシャルを見るとそれがよくわかります。同社の派手なイメージからすると大量のコマーシャルを露出しているとみられがちですが、テレビの露出度は非常に少ないのです。宣伝費をかけないのにセゾンカードが好感度イメージを保ち、女性の支持を得ているのは効率的なパブリシティ戦略をとってきたからです。

1本数億円もするコマーシャルをつくるより、パブリシティをうまく活用するほうが効果的と考え、雑誌や新聞の記事にたびたび取り上げられるように努めたわけです。もう1つの例は、カード盗難保険でしょう。クレディセゾンは、すべてのカードに一律に保険をかけるのではなく、事故があった場合についてだけ個別に対応するようにしています。そのほうが安くあがるとの判断があるからです。さらに、提携カードの相手選びも独特です。提携するなら相乗効果のある相手と組むという戦略を持っているのです。そして、このような経営手法によってクレディセゾンは、JCBに匹敵する業績をあげるまでになったのです。